Complete text -- "『ひびき』第75号"
28 April
『ひびき』第75号
中原中也賞を受賞した須藤洋平氏が新作「SL公園のベンチに座って」を寄せている。彼の詩には、リズムがある。そして、ほんのりとしたメロディーもある。そして表現は、失うものに対してとても攻撃的だ。それが、須藤氏の”生きる”ということになるのかもしれない。その生命観が、彼固有のリズムとメロディーにのって、理屈抜きに、絶妙に表現されている。
竹内英典氏は、作者自身の世界観で物事を見つめる視線を、内面に向けた詩を発表している。何か焦っている、何事かを断念したような作品だ。いつもの強い意志を感じない。ちょっと、気になった。死を予感させる、ちょっと恐ろしい作品だ。
冒頭を引用させていただく。
暖かい日差しを受けながら朝食にしようと
カーテンをあけると戦場がひろがっていた
食卓に戻りみそ汁の具を運びながら
一日のスケジュールをさらう
キリキリまいだな 今日も と胃を押さえ橋をおく
夜ごと墜落するこころを抱えて
何十年も髭を剃る
もう飽きた と剃刀を放り投げようとする今日の一瞬
鏡の奥にきみがいた
(略)
作品「きょう」の一部
06:56:01 |
tansin |
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