Complete text -- "今年1年の収穫"

31 December

今年1年の収穫


 現代詩手帖の12月号は、毎年、多くの詩人等による今年1年のアンケートが掲載されている。自分は、鍵谷幸信のアンケートの回答が好きだった。彼は、ほんとんど詩を書かなかったが(英文学の現代詩の紹介はしてくれた。)、詩人と自らを名乗って、ほとんど詩集など書かずに、自分が気に入った詩的行為を書き連ねていた、それを読むのがとても好きだった。今は、どうしようもない糞尿のような文字の羅列で終わっている。自分も、その中に入って糞まみれになろうかと思い、この大晦日に1年間 mixi に書き綴った日記を読み返し、自分なりの「この1年の収穫」を書いてみたい。

 1 詩集
   よかれと思った詩集は皆無。

 2 詩
  ・及川良子さんの一連の詩、文章、手紙
    天使のような宙に輝く言葉達です。救われます。
  ・現代詩手帖吉本隆明追悼号に掲載された吉本の詩「詩のむかふへ」
    久しぶりに、心底詩に感動
  ・松川穂波「ステンドグラス異文」(仙台演劇研究会通信『ACT』Vol.361)
    儚さ(永遠)と一体となったやさしい言葉達です。

 3 書籍
  ・外尾 悦郎 (著)、宮崎 真紀 (翻訳) 『サグラダ・ファミリア: ガウディと
   の対話』
    人間の創造物のある絶対的な形(永遠に不完全な)
  ・辺見庸『死と滅亡のパンセ』
    否定する事への絶対性、希求する意思の強さに感服。個人的には、
   表紙画の大河原愛さんお絵が使われていることに感動。
  ・カルロ・アンチェロッティ (著)、片野 道郎 (著)『アンチェロッティの
   戦術ノート 』
    サッカーの理論書としては、見事
  ・ヘレン・ラファロ・フェルナンデス(訳:中山康樹・吉井誠一郎)
   『スコット・ラファロ その生涯と音楽 翡翠の夢を追って───』
    短命であったラファロを知る、書かれたものの唯一の手がかりであ
   るような気がしてならない。
  
 4 美術
  ・マックス・エルンスト - フィギア×スケープ展(愛知芸センター)
    表現行為の一部始終が見られました。
  ・リー・ウーハン「対話」(リーウーハン美術館:直島)
    多分、今年一番の鳥肌モノでした。
  ・駒井哲郎展(郡山市立美術館)
    銅版画への作成意欲を改めて持たせてもらいました。
  ・船田玉樹展(練馬区立美術館)
    日本画への憧れが強くなった。
  ・志賀理江子『螺旋海岸』(仙台メディアテーク)
    人間にとって美(醜、死、生、等々)とは何か、強く訴えてきます。
  ・リー・ミンウェイ(李明維)個展「澄・微」(Visible, Elusive)
   (資生堂ギャラリー)
    モノと言葉とが一連のものであることを再認識、それが記憶だった
   りするのだろうと思いました。
  ・1月の白石川河畔「草達の蒼白の死骸」
    全てが白かった。
  ・杉本博司「建築シリーズ」
    過去の死物ですが、現代美術の礼儀作法がよく分かったような気が
   した(多分、勘違い)。
  
 5 音楽
  ・元ちとせのライブ(アラバキ)
    ウッドベースとのデュオ形式の質素なライブですが、とてもすがす
   がしかった。風が吹いていました。
  ・ニック・ベルチェ&Shaのデュオ(渋谷公園通りクラシックス)
    現代ジャズのある種、最高峰の演奏
  ・サカナクション
    ファシズム、恍惚の一歩手前
  
 6 その他
  ・青森「六兵衛」(居酒屋)
   今年行った飲み屋で一番よかった。


  
06:59:53 | tansin | | TrackBacks
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