Complete text -- "詩誌『堅香子』第10号"

19 February

詩誌『堅香子』第10号



 詩誌『堅香子』は、岩手から出ている詩誌です。詩誌『火山弾』の内川吉男さんがお亡くなりになってから、ついぞ岩手からは詩誌が自分のところに送られてくるようなことはなくなり、なんとなく寂しく思っていました。そしたら、詩誌『火山弾』の同人のであった朝倉氏より詩誌『堅香子』が送られてきました。堅香子と書いて、なんと読むのかわかりませんでした。「かたかご」と読むのだそうですね。とても、力強い名前だと感じ入りました。29人の方が51もの作品を掲載しております。それぞれが、それぞれの顔をして生命を言葉に託しています。その中でも、小山小陽氏の「夜」という作品にとても親近感が湧いてきました。これは、私の好みからかもしれません。時間、粒子、明滅、波、などの宙(そら)や時の震えを感じさせる言葉が一杯詰まっております。二連ある作品「夜」の最初の一連を紹介させていただきます。


   夜には香りがある。
   太陽の出ているときには香らない、不思議な香り。
   それは水を濃くした空気の香り。
   空気の粒子の隙間に含まれた、太陽の残した光と熱の香り。
   肺いっぱいに吸い込むと、舌に味まで滲み込んでくる。
   しかし香りには炭酸みたいな刺激があって、
   おいしいからと深呼吸しすぎると、
   肺と気道、そして鼻がヒリヒリしてくるから
   注意が必要。

        詩「夜」第一連

 岩手では岩手日報新聞に、詩の投稿欄がある。宮城では、俳句と短歌の投稿欄があるが、ついぞ詩の投稿欄を見つけることはできなかった。そもそも、詩誌を送っても「東北の本棚」にすら載せてはくれない。詩集を送っても同じだ。そこには詩に対する絶対的な意識の違いがある。岩手では、詩の鉱脈がめんめんと続いている。
07:12:56 | tansin | | TrackBacks
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