Complete text -- "tab 第24号"

09 January

tab 第24号



 『tab』は、毎奇数月発行の詩誌です。今回の24号では、坂入進氏の「般若」が気持ちよく読めました。自分の存在を、意識したとたんに、自分が生まれますが、意識から離れると、そこには自分は居なくて、肉体だけが存在している。そんな、瞬間が捕らえられそうで、捕らえることができない。けれども、谷間に転げ落ちるように、意識を遠のかすことができれば、時間は永遠になると言えますが、自分は何処までもどん欲に付いてきます。

       (前略)

   おれがいないのなら
   今まで<おれ>だと思っていたものは何だろう

   それは・・・、無だ

   夜霧がとてもゆっくりと流れていて
   おれと夜霧に、まったく違いはない

   ひえびえとしたしあわせがケンのカラダを浸した

   杣道のつづらおりで、顎をあげれば
   入道雲が暮れかかる太陽に半身を輝かせ
   ゆっくりと群青の中に沈んでゆく(のが見える)

   それが、無だ

       (後略)

          「般若」中間部分          
14:49:05 | tansin | | TrackBacks
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