Complete text -- "『海棠』第79号"
17 February
『海棠』第79号
私の住んでいる隣の街で発行されている総合文芸誌『海棠』第76号をいただいた。『海棠』は、昭和46年から発行され続けているとのこと、とても驚いた。もう37年間も文学への営みが続いていることになる。身近に感じるからなおさらに、不思議でもあり、驚きでもある。
今号では、日和田真理さんの「花の辺の送り」が印象に残った。言葉に、とても新鮮で美しい生命感が宿っている。日和田さんの今回の詩には、これまでに私が感じていものと違った表情を感じることができた。それは、明るい光と言っていいかもしれない。物事を陰影で表現するのではなく、明るさだけで表現している。人の死までも、前向きに生きるための道しるべになってしまうような肯定的な言葉が並んでいる。これは、一つひとつの言葉に力がなければ作品として維持することはとても困難な作業はないかと思ってしまう。
作品の中段部分を引用させていただく
(前略)
父の骨は とても明るくて 囲んだ私達を
なぐさめ喜ばせた
十分に生きたと言った人と交わす約束は
陽の射す水辺のように華やかなものだ
時間の流れを横切って来た若い人と
私達は 立ち枯れた花の海の渚で足を濡らしながら
いく度となくシャッターを切り合った
(後略)
「花の辺の送り」中段
18:47:44 |
tansin |
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